オレの足は、桜の樹が立っている場所へと向かっていた。



どの樹よりも、美しく咲くと言われている。


オレがその場所に着いた時………一番に目についたのが、君だった……。




誰かいんのか?



そっと見える距離まで近づくと……。




「……女の子?」



長い髪を二つに結んだ女の子が、桜の樹の手前に立っていた。



さらさらと流れる前髪……、儚げな瞳……、すらっとした手足……。



触れたら今にも消えてしまいそうな印象を与える女の子だった。


オレはそんな彼女から目を離せなかった。