「桜は純粋で綺麗……」


だけど、今のあたしは傷つきすぎてボロボロ……。



知っているのはあたしくらい。




他の人に、あれこれと詮索される必要なんてない。




「……じゃあ、あたしは行くね……」



あたしは彼をその場に残して、静かに去った。



異性と話すのは、どのくらい久しぶりだろう……。



あたしが心を閉ざしてしまった日から……、どのくらい経つだろうか……。



やっぱりあたしは異性と関わりを持っちゃいけない……。



もう、あの頃みたいに傷つきたくないから……。



自分を守るためには……異性と関わってはいけないんだ……。



桜の花びらがどこからか飛んできて、ちょうどあたしの頬についた。



あたしはそっと花びらを取り、手のひらに置くと……。



薄色ピンクに濃ピンクが混じった桜の花びら。



「綺麗……」



あたしがふぅっと息をはくと、花びらはどこかへと飛んでゆく。



あたしもあなたみたいに、自由に飛んでいけたらいいな……。