その後からは会話は続かない。



ただ二人で桜を眺めていた。



男の子があたしの近くにいる。



ただそれだけで、肩が小刻みに震える。



あたしは恐る恐る彼の方を見た。




背……高いなぁ〜。


それに、整った顔立ちしてる。


イケメンってゆーよりか、美少年って言った方がしっくりくるかも………。



男の子の近くにいることすら、避けてきたあたしなのに……。



やっぱり無理……。


男の子と二人きりでいることなんて……。




いっそのこと、走って逃げてしまおうかと思ったけど、その時、彼が口を開いた。




「どうして桜が好きなん?」




「それは……見ていたら和むからかな。桜の花びらは散ってなくなっていくけど……その瞬間が好きなの。散るからこそ、桜は綺麗なんだよ?」




まるで、あたしの心を象徴しているかのように……。



大切だと思っていたものは、散っていく……あたしから。



でも、桜はあたしとは違うの………。


純粋で綺麗だから。