『ビックリしたぁ〜!オレ達以外に人間がいるんだもんよ。』
アダムは頭を掻きながら笑った。
『ふふっ…アタシは知ってたよ?ただ、逢う機会がなかっただけさ。』
そう言って微笑むメドゥーサの顔をアダムはじっと見つめた。
アダムの視線に気付き、メドゥーサは彼に視線を送った。
『どうしたんだい?そんなに見つめて…。恥ずかしいじゃないかぃ。』
そう言ってまた微笑む。
『いや…。なら、君は今まで独りぼっちだったんだな…って思ってな。』
アダムの哀しげな顔が覗き込む。
彼の視線を直視できず、メドゥーサは思わず背をむけた。
『そうだねぇ〜。そりゃ、独りだったさ。今日まで人間にあってないんだ。話す相手なんか、いやしないよ。』

『何で笑えるんだよ…』
アダムが静かにつぶやく。
『淋しかったろ?』
アダムの言葉にメドゥーサの動きが止まった。

(淋しい?アタシが…かえ?)

アダムがメドゥーサに近づく。
『誰もいないってわかってンなら、そんなに淋しくはねぇケド…。誰かいるのに逢えないのは…ずっと淋しいだろ?』

アダムがメドゥーサの前に立った。
アダムの優しい視線が突き刺さる。

(どうして…そんなに優しく見つめるんだい?
出会ったばかりなのに…。)
段々、胸が熱くなってくるのを感じた。
メドゥーサは、何かが溢れだすのを必死に堪えていた。
しかし、それを堪えれば堪えるほど胸が痛く…辛くなる。
メドゥーサの頬を一筋の涙がつたった…。

アダムは思わず彼女を抱き締めた。
『大丈夫。もう淋しくなんてないさ。オレが一緒にいてあげるから…。
君はもう…


独りぼっちじゃない。』

優しく包む、アダムの腕のなかで、メドゥーサは静かに瞳を閉じた…。 ―――