「『最初の人類』が誕生したてのエデンの園はとても静かで、平和でした。
そう…。アダムとメドゥーサが出会うまでは……






―『静かだ…』
赤毛のパーマ掛かった髪を垂らし、アダムは大樹の下に寝転がっていた。

『イヴは獣達とくだもの狩りに行っちまうし…。』
アダムは、大きく口を開け欠伸をした。


すると、突然背後から突風が吹きとんできた。
あまりの強風に、アダムは慌てて体を起こし、後ろに向き直った。
『なんだよ!?』
強風が止み、葉っぱが舞散っている。

その隙間から、何やら人影が見えた。
『誰…だぁ？』
人影がゆっくりと姿を現した。
漆黒の長髪に、黄色い瞳…。雪のように白い肌に、鮮血のような真っ赤な唇。

見目麗しい女性がその場に立っていた。
あまりの美しさに、アダムは言葉を失ってしまった…。

『おやぁ〜…。口の締まりが悪いようだねぇ？』

女は、ポカンと口を開けてたアダムを見て笑みをこぼした。
アダムは慌てて口を閉じ、彼女をチラリとみた。
その笑い方も、やはり美しい。
『どちらさん？』
アダムは恐る恐る尋ねてみた。
女は目を細めて微笑んだ。
『アタシはメドゥーサ。アンタは？』

アダムは体を起こし、メドゥーサに手を差し出した。

『オレはアダム。ヨロシク、メドゥーサ。』

メドゥーサは、差し出された手をそっと握り締めた。