―♪〜♪…―

金属が弾かれるような音が一面に響き渡った。

今で言うオルゴールのようなモノだろう。

聞き覚えのあるメロディーが2人の耳に流れ込む。

はじめに口を開いたのはノアだった。
「これって…」
メドゥーサがゆっくりとメロディーと歩調を合わせた…。

「『ゆ〜らゆらり・赤い木の実が揺らめく…♪
罪が恐いか…神が恐いか…♪
さぁ・染めよう…白いバラを…♪
赤く… 赤く…♪
たった一輪・真っ赤なバラを胸に刺そう…♪
深く… 深く…♪
さぁ・祝杯を挙げよう…♪
真っ赤なワインを口に注げ…♪
ほぅら・くるりと天地が回った♪』」

歌い終わり、彼の瞳から静かに雫が垂れ落ちた。

ノアはその現状に声をかけることができなかった。

ただ、静かに彼を抱き締めることが精一杯だった。

どうして、そんな行動を取ったのかも理解できぬまま…。