アダムは、相変わらず煙草を吸いながら、炎を見つめている。
煮え切らないガイアは、もう一度アダムに詰め寄った。
「いけずやなぁ〜。捜しに行ってあげればええのに。…女の子を一人にさせたらあきまへンえ?」
ガイアの穏やかな顔が、下から覗き込んできた。

不意を突かれてアダムの動きが一瞬止まった。
…が、すぐに口元が緩む。

「お前も女じゃん。だったら…一人にしていけねぇだろ?」

ガイアの大きい瞳がさらに大きくなった。

「ウチを…心配してくれはるの?」
「…!!」
アダムは慌てて口を押さえる。
体のアチコチから熱を発しはじめた。


心…配…?馬鹿か、オレは?何で敵の心配してんだって!?


アダムは恐る恐る顔をあげ、目を細めて彼女をみあげた…。

すると、ガイアのキョトンとした顔がアダムを迎えた。
目が合うと、次第にガイアの顔が緩み、穏やかで温かい笑みがアダムを包み込んだ。


その拍子で、アダムの中の何かが切れた。

髪を掻き上げながら、アダムは重い体をゆっくりと起こした…。

「ハッ… ヤバいって…」

ポツリと言葉をもらすと、間髪を入れずに、アダムの腕がガイアを包み込んだ…。



そして、2つの影を繋ぎ留めるように、真っ白い細い腕がアダムの背中に伸びた…。



炎の灯りに照らされ、一つのシルエットが岩壁に刻み込まれた――。