暫らく歩みを進めると、何やら声が聞こえてきた。

微かな声…何を言っているんだ?
声色の違う2つの声…

と、ギルバードはピタリと足を止めた。
咄嗟に草群に身をかがめ、姿を隠した。
出来る限り息を潜め、生唾をのんだ。
頬を嫌な汗がつたる…。

「まさか、生きてるなんて…思いもしませんでしたよ〜!!」
ポニーテールをなびかせながら少女が跳ねる。
「おそらく…爆破の風圧と振動で地盤が崩れ、それと同時に我々が穴に落ちたからでしょう。」 パーマがかった金の長髪を垂らした男が腕組みをして立っていた。
「落ちたことによって、爆破の熱と煙を浴びずに済みました。ま・熱いものは上にいく性質がありますからね。
あれをモロに食らっていたら…命はなかったでしょうケド。」
少女の顔が青ざめる。
「はわぁ〜…偶然ってスゴい…。」
「偶然…だといいですけどね…。」
男の顔が一瞬曇った。が、すぐに平常に戻り少女に笑みをむけた。
「さて、リーナ。今日はもう暗い。これ以上ノア様を探すのは困難な上危険すぎる。…といぅワケで、今日はここで休むとしましょう。」
少女の頬が赤く染まる。
「えっ…あっ…はい!!」
咄嗟の返事に声が裏返る。ますます、少女の顔が赤くなる。
「あっ…じ…じゃあ、アタシ薪と寝床になるような葉っぱを探してきますね!!ゼノン様はここで休んどいてください!!」
早口でしゃべるとリーナは、逃げるようにその場を離れた。
ゼノンは、その背中を呆気にてられて眺めていた。
「…やれやれ…危ないから動くなと言ったばかりなのに…。」
と、軽くため息をもらした。
「さて…」