アダムの視界に入ったのは、漆黒の長髪に、血のように真っ赤な唇で白い肌をした見目麗しい女性…

「メ…ドゥーサ?」

アダムの瞳が珍しく見開かれた。
しばし、辺りの音が聞こえなくなった。
ただ、鼓動だけが鮮明に耳元で聞こえるようだった。
そんなハズはない…!
先代メドゥーサは、あの日父と先代ノアと一緒に死んだ…!!
生きているハズは…

「どなしはったん?」
彼女の声でアダムは我にかえった。

言葉に訛りがある…。ってコトは先代メドゥーサじゃあない…か。

女はきょとんとした表情を向けた。その表情を見て、アダムは肩の力が抜けた。