落ち葉のクッションに身を任せたまま、アダムは懐から煙草を取出し口にくわえた。
火をつけ煙を吐き出すと、ぼうっと遥か彼方の空を眺めながら頭をかいた。

「あぁ〜…。…びっ…くりした。俺・生きてるし。」
忙しく瞬きをしながら、アダムは再び煙草を吹かす。
「なんで生きてんの?俺。」

もちろん返事などない。
独り言が何だか虚しくなり、さっと体を起こすと落ち葉を叩き落とし、まだフラフラする足取りで落ち葉道を歩きだした。
まだ緑が残る木立を一つ一つ眺めながら、どこに向かう事無く歩みを進めた。

しばし歩くと、開けたところに出た。
目の前には、小さな湖が広がっていた。
小さいながらも水は透き通っていて、底まで鮮明に見えた。
ちょうど喉が乾いていたので、アダムはしゃがみ込むと片手で水をすくい、そのまま口に注ぎ込んだ。
目蓋を閉じその味を胆嚢した。そして、ゆっくりと目蓋を開くと先程まで何も映し出していなかった水面に、黒い影がボンヤリと浮かび上がっていた…。

アダムは、何に動じることもなく、ゆっくりと顔をあげた…。