軽快なリズムで階段を駆け上がると、ノアは甲板にいる目下の仲間達を見渡した。
皆の注目を一身に浴びながらノアは大きく息を吸い込むと、体内の息を全て吐き出すように大声を張り上げた。
「今日という日がアナタ達にとって最高の日となることを心より願っている!!」
大衆の歓声が沸き上がる。声をかき消されまいと、ノアはさらに声を張り上げた。
「皆!今までよく耐えてきてくれた!本当にありがとうッ!!
とうとうこの日がきた…。今日で、長きに渡る戦争が終わりを告げる!!

…いや…」
ノアは両手を目一杯広げた。
「終わらせよう!!私達の手でっ!この戦争を!!」
ノアは右手を天に掲げ、力強く拳を突き上げた。
「築こう!新しい未来を大地に!!勝利を我らの手に!!」
大衆の歓声が空一杯に広がった。方舟が割れんばかりの地鳴りがビリビリと足元から伝わってきた。
ノアはマントを翻し、船首に立った。鳴り止まない歓声の中、彼女の声が響き渡った。
「帆を張れッ!!いざっ!大地へ出航ッ!!」
彼女の指針は、大地を指し舟はゆっくりと降下していった。