天☆地戦争

「い…イヴ!?」
アダムは驚きのあまり、口にくわえていた煙草を落としそうになった。
「えっへへ〜♪やっと見〜つけた♪」
イヴは満面の笑みをアダムに向けた。
オナモミのようにくっつくイヴを、ガイアはきょとんと眺めていた。
ガイアの視線に気付いたイヴは、ふと顔をあげた。
すると、バチリと視線がぶつかった。
「あんさんが妹はん？可愛らしいわぁ〜。」
やんわりとした笑みをイヴに向けた。
イヴは、マジマジとガイアを眺め回すと、ペロリと舌をだした。
意外な行動に、ガイアは狐に摘まれたような顔になった。
イヴは、その様子にも気に掛けず、アダムの腰にしがみ付いて、顔を覗き込んだ。
「にぃ〜にぃ。何でこの女といるん？」
膨れっ面が下から覗き込む。
「何で、って…。偶然？たまたま？」
少々困りながら、イヴの頭を撫でた。
「ふ〜ん…。」
アダムにしがみ付いたまま、イヴは横目でガイアを見た。

彼女の視線を見た瞬間、ガイアは背筋がぞくぞくとするのを感じた。


とても冷たい目…。こんな小さい子やのに…なんて目ぇするの…？


恐ろしくなり、思わず目をそらした。
「あ…ウチ、そろそろメドゥーサ探しにいかな…。」
ガイアは反転し、2人に背を向けた。
「いや…いやいや。一緒に探すんじゃなかったっけ？」
アダムはイヴの手を解くと、慌ててガイアの腕を掴んだ。
「せやけど…」
ガイアは目をふせる。
アダムは何やら様子がおかしいガイアに、眉をひそめた。
「オマエ…どうした？」
ガイアの手がそっとアダムの袖をつかむ。
アダムは、掴まれた場所に目を落とした。

ガイアの手が震えてる…。

アダムは、彼女の顔を横目で見た。
すると、ガイアの表情が、何かに怯えてるような気がした。
白い肌がますます青白く見える。
アダムがそっと口を開こうとした、そのとき…。
「アダムに触らないで。」
冷たい声が後ろから飛んできた。
背中から焼き尽くような視線が突き刺さってきた。
アダムはゆっくりと振り返った。