東の空から徐々に光が漏れてきた。
薄暗かったエデンにも、木漏れ日がさす。

ヴォルテールは、本陣に座していた。
「夜が…明けたな…。」
ヴォルテールは、手に持っていた軍配を高々と天にかざした。
「聞け!皆の者!!」
全軍の視線が一斉にヴォルテールに向けられた。
ヴォルテールは大きく深呼吸をすると、兵士一人一人の顔を一瞥した。
「よいか?ただ今より、進軍を開始する。
主らの使命は、アダム様を見つけることじゃ。
たとえ敵がいても、決して陣営を崩すでないぞ?
お主らの命は、隊長が守る!
安心して、進むのじゃ。よいな?」

「「オ―――ッ!!!」」

地鳴りのような雄叫びが近辺に響いた。
ヴォルテールはその様子に頷くと、さらに声を張り上げた。
「アダム様を見つけたら、直ちに知らせろ!!
お主らの武運を祈る!!」
ヴォルテールは掲げていた軍配を、勢い良く振り下ろした。
「出陣じゃッ!!」
地鳴りのような雄叫びとともに、列を為した軍隊がエデンを踏み歩きはじめた。
この振動は、エデン全体を震撼させた…。