「『ヒカリ』をね、探してたんだよぉ。メドゥーサ。」
少年はたどたどしい口調で答えた。
少年はすくっと立ち上がると、くるりと振り替えってメドゥーサを見つめた。その表情は、どこか心許ない。
「ねぇ、ねぇ。メドゥーサがさっき歌ってたウタはさ、いつもメドゥーサが鼻歌でうたってるヤツ?」
小首を傾げて少年が尋ねた。メドゥーサは、口元を緩めて微笑んだ。
「あぁ〜そうさ…。坊やもよ〜く覚えておくといいよ…。」
そぅ言うと、彼女は少年の前にしゃがみ込み、ぎゅっと手を握った。手の中に何やらゴツゴツした物があるのを感じた。
「いいかい?坊や…。運命の鍵は…お前の手の中にある…。」
メドゥーサはそっと手を離した。少年は手の中を覗き込んだ。
…ネジ?
少年は眉間にシワを寄せた。
「ねぇ、メドゥーサ。コレって何の…」
パッと顔を上げたときには、彼女の姿はどこにも見当たらなかった。
ただ、闇の中から彼女の鼻歌が聞こえてくるだけだった。しかしその歌も、段々遠ざかっていき、最後にはフクロウの鳴き声のみ響いた。