涼風に促され家の中に入った四人は、その部屋の光景を見て目を丸くした。


「何よ!この煙はっ!」


部屋の中は、まるでバルサンでも炊いているのではないかという程に、煙が充満していた。


その煙にむせながら、その出所をよく見れば、部屋の中央に有るのは火の点いた『七輪』であった。


涼風は笑いながら言った。


「いやあ、やっぱり魚を焼くのは『七輪』に限る!それが風情というものだ。そう思わないか、君達?」


「これのどこが風情なんですかっ!こんな所で焼く事無いでしょ!ティダ!窓前開にして、窓!」


よくもこんなに息苦しい部屋に居られたものだと、感心しながら四人はパタパタと懸命に煙を家の外へと追い出した。


「そう言われれば、確かに少し煙いな……」


「少しじゃ無い!こんな所に居たら窒息死しますよ!」


詩人とか小説家とかいう人種は、変わり者が多いというが……そんな通説はこの涼風にも当てはまるのかもしれない。