「ふふ、僕なぁ昔っから"火属性"だけには強いんだよね、なぜか。」
「ほんまやな。あの時だってお前だけ‥。」

そう言って彼の横にしゃがみこんだ少年の横でふと彼は切なげな表情を浮かべた。怒りやら切なさやらそんな物を含んだ目をして‥。

しかし、それを振り切るかのように頭を揺すって立ち上がれば、少年の方に手を伸ばした。少年は彼を見上げる。

「陸、もう帰るか。飯はできてんねん、はよ帰らな冷めてまうわ。」

彼は自分達の住んでいる村へ、家へと足を向けてゆっくりと歩き出した。少年は笑顔で彼の手を取り、後をついて行く。

その二つの背中は、血は綱がっていなくとももはや家族そのものであった。