「ふん、お前みたいな契約(エンゲージ)さえする事を許されていない野蛮エルフに、説教なんかされたくねぇんだよ!」
「お前にはグズのそいつがお似合いだ。もう行こうぜ。」

二人はそう言い、足速に立ち去って行った。負け惜しみで言った台詞だったが彼にはきつく心に響く言葉だったようで苦痛の表情を浮かべたが、それは一瞬の出来事だった。

普段の表情を取り戻した彼に少年がゆっくりと近づいていく。二人の身長差がおのずと表れる。少年がたずねた。

「涼‥大丈夫?」
「ん‥あ、おん。大丈夫やで。あんなんいつもの事やんか。あいつらほんましつこいわ‥。それよりかお前は大丈夫か?」
「僕?うん、なんかね大丈夫だったよ。ほんと軽い火傷ですんだみたい。」
「お前‥火の精霊、サラマンダーのファイヤーボールを受けたんに軽い火傷とススついただけってのが不思議やわ。」

確かにサラマンダーは中級召喚精霊であって、そのファイヤーボールは火柱をあげてしまうほど協力な物である。それなのに少年は軽い火傷だけなのである。むしろ、軽く腫れていた皮膚はもとのみずみずしさを取り戻しつつあった。