「お前等はバジリスク並にしつこいけどな。」

と、二人の後方から独特の鼻にかかった声が聞こえた。その特徴のある声に二人の顔が一瞬歪む。彼は黒髪を風にちらつかせながら、いまだ座り込んでいる少年の前に立ち手をひいた。

少年の体がゆっくりと起き上がる。少年を立たせると、その彼は二人の方を振り返り鋭く睨みつけながら口を開いた。

「お前等こいつに何してくれんねん。対モンスター用に造られた人工魔法を人間に向けてやったらあかんやろ。考えたら分かるやんけ。一歩間違えてたらこいつ死んでたかもしれんのやぞ。」

二人に飛ばされる怒声。その声に含まれるは怒り怒り怒り‥。それ以外の感情は1ミリとも含まれていないように思えた。

しかしそれを聞いても二人は瞳色を変えず、声色を凍らせた。