「いやぁぁあ!」
「ユラ様ぁー!どうしてっ」
「フィギャアァァ!」

もちろん村も炎をで溢れかえり人々の悲鳴でうめつくされる。人だかりのせいで母と離れてしまった俺はひたすらに母を捜すだけだった。ふと陸のことが頭を掠めたがすぐに掻き消されていった。

「ぐるるるる。ぐがぁぁ!」
「やめなさいっ!‥う、ぁあっ!」

ふと後方から聞き慣れた声がした。そちらを振り向けばフィアリザードの爪の刃をくらった母が血が流れ落ちる胸を押さえて横たわっていた。

肩で息をしているところを見るとまだ事切れていないらしい。

「かぁさん!」
「ぐ?しゃあぁあ!」

俺は咄嗟に母を呼んでいた。母を見下ろしていた沢山の瞳が一斉にこちらを向いた。微かに開かれた口からは赤い炎がちらちついている。

背中に寒気が走った。このまま突っ込めばフィアリザードのブレスで焼き殺されるかもしれない。それでも俺の足は母の方へと向かおうとしていた。