「くらえ、ファイヤーボール!」
「うわぁぁあ!やめてよぉ!」

静かに柔らかな風が吹き抜けてゆく、草花の緑がどこまでも広がる平原に小さな悲鳴と共に大きな爆発音が響いた。そして大きな火柱があがる。

そこには体中ススにまみれた一人の少年が横たわっていた。銀髪の中に見える顔は背丈に比べてかなり幼くみえる。その少年を見下ろす4つの瞳(め)。

あやしげに開かれた口からは見下ろされた少年を嘲笑う声が溢れていた。辺りには草花の焼けた少し渇いた匂いが立ち込め、鼻を掠めていく。

「うっ‥くぁ‥はっ‥」
「あれ?お前まだ立てんの?」
「生命力は妖蛇バジリスク並みだな。しぶといやつめ。」

少年はススにまみれた体をゆっくりと起こしていく。時折間接が痛むらしく、表情は苦痛で溢れていた。その状態を見てもなお、見下ろす二人の笑い声は止まらない。むしろ大きさは増していっているようだった。