ここで取り乱したらいけない。
早く、麻理亜を助けなければ。
深呼吸を一回する。


「葛城、今どこにいる」

『社長のマンションの近くに』

「そこを動くな、今から行く」


そこで一旦会話を終わらせ、俺は室内を見渡す。


「すまないが、会議は中止だ。」

「?社長……?!」


止める重役達を振り切って俺は会議室を飛び出した。
携帯で葛城ではなく別の番号を呼び出す。


『………どうした?』

「学、助けてくれないか」

『敬夜?』

「麻理亜が、誘拐された」


こんな時ほど警察に知り合いがいてよかったと思う。