確かにそこにいるのは、仁なのに…
全く別人のようで、
どうしたのか聴こうとした時だった…
「あのさ、紅葉…」
仁は、ずっと思い詰めた表情で俺の顔から目を逸らすと、
俺から、全てを奪うには等しい言葉を俺に投下した。
仁は、俺にそれだけ伝えると保健室を出て行った。
俺はただ唖然とし、
仁に言われた言葉に頭がついていかなかった。
`別れよう'
この言葉の意味を、
俺は分かりたくなかった。
だって、今までの関係がなくなってしまうんだろ?
俺達は、敵同士になってしまうんだろうか?
そもそも、仁は俺に好きという感情を抱いていなかったのでは??
考えれば考える程、
マイナスの方向になってしまう。
どうかして、俺は仁に別れを告げられてしまったのだろう?
仁とはもぅ、赤の他人になってしまうんだ。
恋人とは、全く違う関係に……
俺はその日、葵の部屋に泊まって、大声で泣いた。