仁Side
初めて、食堂で紅葉に会った時は驚いた。
だって、もう会えないと思ってたから。
だけど、向こうは俺のことちっとも覚えてないみたいで、本当のこと言おうか迷った。
もし、違う奴だったら嫌だから。
どうしても、言えなかった。
紅葉が、葵とかいう奴と帰った時はイライラした。
俺には、見せない顔で喋ってる…
そう思うと、柄にもなく悲しくなった。
俺は、すぐに紅葉のことを調べろと唯一の親友の晃に言った。
晃は、驚いた顔をしたあと怪しげな視線で俺を見て
「さっきの子があの時の子なのか???」
「さぁな、確信は持てないがそんな気がしただけだ」
晃は、あの時のことを知ってる。
俺が素直に話すと、俺も一緒に探すと言ってくれた、優しい奴だ。
一週間たった時に、晃から一通のメールがきた。
"あの子で間違いないと"
俺はそのメールを見た瞬間、紅葉を探しに走り出した。
もう、絶対に逃がしてやらない。
もし、紅葉が違う奴をあの瞳に映していても、縛りつけて逃げないようにしてやると思った。
随分、頭がイカれてると自分を嘲笑った。