この声は忘れない、あの夢の中のお前だ。
でも、どうしてこんな所にいるんだ???
俺の頭の中は、歓喜でいっぱいだ。
嬉しい気持ちで、振り向くと…………
「よぉ、覚えてる??あん時の俺のこと」
「なっ……なんで??」
だってそこには、仁がいたわけで…
ふと気付くと、あのクソ野郎共は俺の力が抜けた隙に全員逃げていた。
だけど、今はそんなことどうでもよかった。
……ただ、目の前でニヤリと笑っている仁が、あん時のお前なのかどうかで混乱して…。
だって、前に一回見たのに。
どうでもいいって思うかもしれないけど、俺にとったらとても大切なこと。
相手が本物か分からなかったけど、その迷いは確信へと変わった。
「公園で泣いてる紅葉を、抱き締めていた時のこと」
まさかこの仁が…
この天龍の総長が……
あん時の奴だっていうのか??
「仁…???」
俺は、嬉しさのあまりに泣いてしまった。
俺がそう言うと、仁は笑って俺を抱き締めた。
「紅葉…」
「…な、に?」
「あん時の言葉、覚えてるか??」
「ふッ…当たり前じゃん!!
ずっと、俺待ってたんだ。
根拠のない約束をずっと信じてたよ…仁…」
「だったら、話が早いな」
仁は、腕の力を緩めて泣き顔の俺と目を合わせた。
そして、
「紅葉、俺は紅葉のことが好きだ。だから、付き合ってほしい…」
「俺も、仁の…こと、好き」
仁は、最高の笑みを浮かべながら俺に触れるだけのキスをした。