「な…で??」
やっと絞り出した声は、弱々しかった。
「なんでもだ。じゃぁな、葵」
晃はそれだけ言うと、保健室の出入口に向かいだした。
やだよ、おれ。
まだ晃とわかれたくないよ。
でもこのままじゃ、本当に終わってしまう。
あきらとわかれたくない。
「晃っ!!」
大声で叫んだ。
すると晃は立ち止まり俺を見る。
「俺は、俺は!晃と別れたくない!!やだよ…」
目に涙を溜めて言いきった。
途端に、晃はニヤリと笑った。
まるで待ってましたと言わんばかりに。
「葵早く言えよな。待ちくたびれた。」
晃は俺のもとまで戻って来ると、抱きしめた。
「うわぁ」
思わず感嘆の声が出た。
「葵好きだ。」
「俺も晃好きやで」
そうして二人は、どちらからでもなくキスをかわした。
仲直りのキスだ。