∽風真葵side∽
「おい、葵…起きろ」
「ん??」
声がして起こされると、水谷ではなく晃がいた。
「なんでいるん!!?」
というより居場所がばれたことに、驚いた。
「葵が行くところは、分かる」
晃が笑いながら教えてくれた。
それって、ストーカーに近い気もするんやけど…
そんなこと考えてる場合じゃない!
浮気者なんかシカトやっ!!
「なぁ葵、ごめん。怒ってるとおもうけど」
当たり前だ。
捨てるとかいっておいて、あれはありえない。
応答なんかしてやらないし、する気もない。
無視だ!
何がなんでも無視。
「……………」
晃はなにも喋らない俺が、余程怒っていると思ったみたいで、さらにこう続けた。
「あのDVD実は俺のじゃなくて、俺の友達のものなんだ」
嘘をつくなら、もっとましなのなかったのかよ。
もう、騙されへんで!
「ソイツなんか、同室者が嫌がるとかなんとか言って、俺の部屋で見てたんだよ。」
「……」
「マジ悪かった。葵に心配かけるなんて恋人失格だな。
葵別れよう」
えっ!??
自分自身の耳を疑った。
晃の顔は、下を向いているから全く分からない。