厨房に入ると、店長は二種類の手袋を僕に渡し、
サンドイッチを箱詰めするよう指示を出した。

僕は言われるままに、その単調な作業を始める。
途中で店長に、急いでと急かされ、終わった頃には12時近かった。


事務室で待っててと店長に言われ、待っていると、白衣を脱いだ姿で受付の女性が現れた。

「ごめんね。じゃあ、行こうか」

そう言って、女性は僕を運搬トラックに乗せて車を走らせる。


「君も、来てすぐにバイトするなんて思わなかったでしょ?」


クスクスと笑いながら女性は言った。
「え、まぁ……」と曖昧な返事を返すと、女性は


「ごめんね。今日、いきなりサンドの数が変わっちゃって。てんやわんやしてたの。君が来てくれて助かったわ」


「いえ……。いつも、あんなに忙しいんですか?」

「忙しくないって言うと、儲かってないように聞こえるでしょ?」

「え?」

「忙しいよ。毎日」


ふと、自分はやって行けるのだろうかと不安になる。
そんな僕を横目で見たのか、女性はくすっと笑って

「慣れると暇に感じるけどね」
と付け足した。

「今日みたいなのは珍しいから大丈夫よ。君にやって貰うのは、レジと、さっきみたいな箱詰めと配達の手伝いだから」


女性の言葉に、ホッと胸をなでおろした。

「あ、そうそう」


「まだ他に、やることあるが?」

「履歴書、後で出してね」