その前には狭山くんがいた





「女殴らないことは常識だろ…あ?」



「…っ」



「先生殴らないことはもっと常識だろ!!!!」




「かっこつけてんじゃねぇよ、狭山」



「ふっ」



「なに、笑ってんだよ」




「ぼろぼろになりながらも強がるお前らのほうが、かっこつけだろ」




あたしを囲む女子たちは小声で


「ちょー、かっこいいんだけど///」


「やばくない、裕///」






確かに今あたしたちの前にいる、狭山くんは



まるでヒーローだ




「うぜえな…」




そう言い残し男子生徒二人はどっかに言ってしまった





その瞬間女子は狭山くんを取り囲んだ





「狭山くんさすが!!」


「かっこいいー」





あたしは立ち上がった




挫いた足が痛くて
引き摺りながら教室を出ようとした