それから一週間後に貢は亡くなった。 普段会うわけではなかったので 彼がこの世に存在しなくなっても 私の人生は何も変わらない。 たった二回、見舞いと通夜で 無言の貢に会っただけの事だ。 私は通夜で貢の奥さんの様子に 心を討たれた。 彼女は絶えず、何一つ言葉にはならない声を 発している自分の娘を、抱きかかえる ようにして親族の席に座らせ、気丈な態度で 弔問客に挨拶をしていた。