一時期、私は自分が他の男と付き合って 上手く行っているにも関わらず、 貢のことを思い出しては、結婚生活が 上手く行かなければいいのにと思っていた。 まだ愛しているというわけでもないのに なぜか微かな嫉妬がそこにはあったような 気がする。 ぼうっとした頭で夢の中で見た貢を 思い出しながら、トイレに入ろうとすると もうすっかり出勤の準備をした麻衣が 洗面所から出てきて『おはよう』と言った。