『さくら、綺麗だろう?』



『ええ…知らない桜ばかり』




『そうだろう?なかなか珍しい種類もあるからな』



『拓は全部分かるの?』




『た、多分…。やっぱり、秀介のが知ってるけどな』



秀介くんに、逃げるのね。


意地悪な問いだったかしら?



でもそういう拓も、可愛いくて、好きだ、と思う。




そっと手を伸ばせば、触れられる距離。



けれど、そう簡単には触れてはならないお方。




切ない感情が、胸を締め付ける。





『さくら?』



『ああ、えっとお…』



『そういうところ』



『え?』




『さくらの、ぼっとするところ。可愛いと思う』





ええええ、ええ?!



た、たた拓?!




明らかに動揺する私を見て、拓は自分の言ってしまった言葉の重要さに気付く。



そうして、顔を赤くする。




私も、そういうところ。


時折見せる、照れる表情がたまらなく好き。