拓は途中で振り返って、微笑んだ。
『また、会えるよ』
いつもと同じ、柔らかい笑顔を残していった。
「また、会えるよ」
今更気付いた。
あなたの“また、会えるよ”は“また、会おうね”でしょ?
────素直じゃないわね。
そう思って笑った。
その姿に纏う儚さが、私の不安を拭うことはないけれど。
けれど、そのへそ曲がりな約束が、きっと私たちを繋げてくれる。
また必ず会う、その意味のこもったら約束が。
この桜が枯れても、
また咲くように。
私たちはいくら離れても、
また出会う。
例え身分違いの恋だろうと。