『俺から、離れないでくれよ。───白純美』


そう言って抱きしめる。




苦しい、苦しいよ。


切なさに呑み込まれそう。




離してよ、忘れさせて。


そう思うのと対照的な感情が沸き上がるのに気づく。



────このまま、居たい。



彼の胸に抱きしめられたまま、淡い感情に身を任せていたい。



ううん。もう、淡くはない。




確かな、強い感情。



『た、拓…!!!』



涙が溢れ、声が出ない。


言葉がうまく発せない。




『白純美、俺、白純美のこと……!!!!』



抱きしめる力が強くなる。





『───────拓様?』





衝動的に、拓を引き離す。


────誰?



拓も慌てた様子で、声の主の方を見た。