『さくらは、兄弟がいないのか?』


『うん。私は一人っ子なの』



歳上を好むのは、兄が欲しいが故に?



『そうか。俺は、秀介と二人兄弟だ。けれど、家にはたくさんの人が住んでる』

『たくさん?』


一概に“家族”と言わないのは、なぜ?

親戚とか?たくさんいるのかしら。



『みんな大事な人なんだ。家族のようなもの』


いいなあ、と思った。


私もこの人にとって、大事な人になりたい。

そんなことを考えて、恥ずかしくなった。



ななな、何考えてるのよ!!!!


そ、そんな…拓の大事な人に、だなんて!!!!!!



『さくら?またぼっとしてるけど?』



拓は「ほらね」とケラケラ笑った。


楽しそうに。