『ど、どいてよ!私、用があるの!!!!』
教室のすぐ前の廊下。
結局、足止め。
『何の用?!なに?!』
ちょっと…佑馬くん…
『佑馬!!やめろよ!お前らしくないって!!!!やばいくらい必死な顔だし!!』
佑馬くん、らしくないの?
いつもこんなかと思っちゃう。
『恵とは帰らないの?』
『うん、本当に用があるの!!だから、ごめん!また明日!!!』
こんなところで時間食えない。
彼が大学から帰ってしまったら、会えないじゃないの!!!!!!
『駄目』
と腕を掴んで来たのは。
『や、やめてよ。本当に時間が─…』
瞳を見たら、言葉が詰まる。
『五人で帰る約束しただろ?』
恵から、そんな話聞いてない。
正しく言えば、薄々気づいていたけど。
恵のあの必死に引き留める姿。
きっと、海斗たちが来れば、仕方なくでも、私が五人で一緒に帰るとでも思ったんだろうけど。
「今日、だけだよ?」
あの約束を忘れてないから、必死だったんだろうね。
『わ、私一人で帰りたいの』
拓に会うんだもの。
一人のが良い、なんて当たり前じゃない。
『本当に……!!!!!もう、離してよ!!』
海斗の手を振り切って、走り出す。
『おい!!白純美…っ!!!!』
こんな時に名前で呼ばないで。
───おかしくなるから。