『ったく!!お前は!!!』
案の定、海斗は怒っていた。
それも、ものすごく。
『すぐにふらーって、どっか行っちゃうんだから!!!!』
『ねえ、白純美?さっきの人…』
恵は鋭い。
ぎゃあぎゃあうるさい海斗を制して、真剣な瞳で私を見つめる。
『うん。私の好きな人』
みんな、目を見張った。
やっぱり、という顔で。
『白純美ちゃん、好きな人いたの?』
佐々木くんには言ってなかったっけ。
『うん。昨日─…』
『あんな男のどこがいいのか、さっぱりわかんねえよ』
私の言葉を海斗が塞いだ。
私を見ない。
ただ、彼がいた桜の木を見る。
『やっぱり、お前の趣味は悪いな。ま、お前もお前だから、お似合いだな』
海斗はそう言って嘲笑った。
さっきまで、ちょっといいな…なんて思ったのに。
やっぱり、子供だよ。
こんな言葉に苛立つ私も、子供かしら?