『また、会えたね』
『ええ。約束よ。名前は?』
私が真剣に聞くと、彼は笑っていた。
その柔らかい笑顔に、あの時と同じ感情を抱いた。
やっぱり、あの人だ。
『白純美』
名前を呼ばれただけで…
胸が苦しくなる。
『覚えててくれたの?』
『…さくら』
『だから、それは─…』
私が言葉を発しようとした口を、彼の手が塞ぐ。
心臓の音が、大きく鳴り響く。
───聞こえてないのかしら?
彼の顔を見上げると、彼は優しく呟いた。
『俺の、さくら』
あなたの桜?
私が?
私になれるのかしら。
儚く、やがて散り行く桜。
けれど今を、精一杯に咲き誇る。
あなたの桜に。