『強いて言うなら、あの人』


指の向こうには、



『えっ…白純美ってそういう…っ』


恵はものすごく驚いた顔で、私と指の向こうの人を交互に見た。



指の向こう─…



髭の生えたおじさん先生。



恵が、それをあまりにも本気にするから、


『“強いて言うなら”だよ?それくらい年上がいい、ってこと』


そう、

私の好みのタイプは“年上”。


だからこの学年、一年生になんか好きなタイプはいない。


高校生、といっても去年までは中学生だったんだから。



『あんたさ~夢見すぎだよ?先輩と付き合うって、結構難しいと思うよ?』


恵の言う通り。先輩とは、知り合うのだって大変。

だけど、条件は変わらない。


『高校生じゃなくてもいいの』

『えっ、じゃあ本当にああいう─…』



恵がまた、おじさん先生を見る。


『恵、違うし!!大学生、むしろ大学生の方がいいな』



また、夢を見る。