『ここが白純美の家、か』
拓が見上げた先には、一軒家。
私の実家。
そういう呼び名も、なんだかくすぐったい。
もう同棲するんだな、と。
『意外と大きいでしょう?ま、西条家には敵わないけれどね』
『そうだな、意外と。でも西条は無駄に広いからな』
そんな他愛もない話をしながら、家に入って行く。
誰も居ない、家に。
『どうぞ、入って』
『ありがとう』
鍵を開けて、拓を招く。
頼稜さんは車で待機してくれている。
それにしても頼稜さん、簡単に口で説明しただけで、よく私の家が分かったわね。
やっぱりこれが、本当の頼稜さん?
さすが、拓の付き人さん。