その温かさが胸に染みて、私の心のまでもが温かくなる。
拓のことしか、頭に浮かばなくなる。
瞳に映る、その儚さしか。
『もう口出しはしませんから、どうぞご自由に』
頼稜さんは、囁くように言葉を落として、視線を前の景色に変えた。
そのまま、前から視線が外れることはない。
同じように、私と拓もまるで鍵が掛かったように、じっと互いの瞳を見つめている。
拓の瞳に映る自分の姿を見て、拓が私を見ている、と思う。
知っていることを、改めて。
拓の瞳を、思考を、私が独り占めしているようで嬉しい。
この気持ちをどうすれば良いのか分からない。