『こちらがお庭になります。どこかにいらっしゃるはずですが…』
広い、お庭。
昨日来た時も、びっくりしたけれど、草原みたいな場所が延々と続く。
花や自然が大好きな私は、目をキラキラさせた。
『秀介様のところまで、ご一緒しましょうか?』
未菜ちゃんは、そう言ってくれたけれど、単純にこの草原を駆けてみたいと思った。
自由に。
『一人で行くわ。ありがとう、未菜ちゃん』
未菜ちゃんは一礼して、豪邸へ戻って行った。
目の前に広がる、緑。
拓の部屋から見える桜色とは、少し違った、春。
やっぱりドレスだから、走りずらい。
仕方なく、春の風を感じながらお庭を歩く。