『ねえ~拓~』




拓の部屋に戻ったら、時計の針は、10時を指していた。




今日は学校が無いから、のんびりしてるけど、する事が無いのは、やっぱり暇なもので。




『ちょっと待って』



拓は、勉強机に向かって、勉強をしていた。



そこには大学生の拓の姿があった。



熱心に勉強する姿は、後ろから見ても素敵で、見とれてしまう。




見ているのに気付いてくれれば良いのに、全く気付かないみたい。



つまらないわ。





『何?』



拓は手を止めて、やっと振り返って、私を見てくれた。



その声は、いつも通り優しくて、私の大好きな声だった。