拓はドアノブに手を掛けて、立ち止まった。



しばらく、そのまま。




少し不安になって、拓の顔を覗き込む。



『どうしたの?拓───』




あ、と思った時には、両肩を掴まれ、唇も瞳も、拓の色に染まってしまった。




一瞬、周りが見えなくなってしまう程に、深いキス。



もう、拓しか見えなくなってしまう。




必死で、理性にしがみつく。



もう駄目、と思った時には唇が離れていた。





『例え父上でも、白純美は絶対に譲らない』





変に、ぼっとしてしまう。



そんなこと、心配しなくて良いのに。




でも、必死で私を繋いで置きたい気持ちが、とてつもなく嬉しいものだと気付く。





『拓、可愛い』



『バ、バカ!!からかうな!!』




顔、真っ赤よ?


そんな拓が、大好き。



明仁さんと雅さんに誓った約束は、嘘じゃないから。




この手は、一生離さない。