拓がはっきりと言うと、西条の父母はにっこりと微笑んだ。
そして、その瞳に私を映した。
『白純美さん』
『はい』
西条のオーラに呑み込まれないよう、しっかりと根を張る。
拓の桜として、決して揺らぐことの無いように、深く。
『何があっても、拓の手を離さないでくれるかな?永遠に』
『もちろんです。拓の手は、私を救ってくれますから。絶対に離しません』
この手を離してしまったら、私は崩れてしまう。
それくらい、大事な手。
私の支え。
『良かったわ。拓と白純美さんなら、きっと大丈夫よ』
『そうだな。さすが拓の心を奪った女だ。西条に相応しい』
拓、貴方の御両親はとても温かい方ね。
私はこんな方たちの家族に成れることが、嬉しくてたまらないわ。
“西条に相応しい”
この一言が、私はとても嬉しかったの。
こんな平凡な私が、大富豪の拓に相応しいだなんて。
お父様に言ってもらえるとか、思ってもみなかったから。