『私は拓のことが好きです。こういう家柄だからではなく、純粋に拓という人間に惹かれてます。大好きなんです』
『俺も、白純美と一生を共にしたい。こんなに恋い焦がれるのは、先にも後にも、白純美だけなんだ』
互いの願いはただ一つ。
どうか、貴方の傍に居させて下さい。
儚くて、今にも消えてしまいそうな彼の胸の内に宿る、確かな想い。
情熱的な、赤。
私はその赤に、その儚さに、相応しい人に成る。
例え、何があろうと。
『拓』
『はい』
しばらく続いた静寂を、明仁さんが打ち破った。
その父親らしい、芯のある声を拓に掛ける。
『拓、お前は、白純美さんを幸せに出来ると誓えるか?』
『はい。白純美を、誰よりも幸せにします。必ず』