『私は、今まで夢ばかりを見ていました。理想ばかりを追い求めて、本気で人を好きになったことはありませんでした』
何も考えず、思ったままを口に出す。
『けれど、拓に出逢い、初めてずっと傍に居たいと思えました。一生、傍に居たいと』
あの日から、毎日、拓の事ばかり考えていた。
好きで、好きで、たまらなかった。
桜を見る度に、連想させた。
そして、強く願い望んだ。
“貴方の桜に成りたい”、と。
『私は、“一生”という言葉の重みをまだ知りません。ずっと傍に居たい、と思うだけです。けれど、その重みも、拓となら背負えます。永遠に』
大丈夫、拓となら。
そう思って、拓の左手を強く握り直した。
拓も、温かい手で、安心を返してくれた。