『雅と私は、このことだけが気にかかってるんだ。白純美さんは16歳なんだよね?』
『はい、16になりました』
私の誕生日は4月2日。
入学式の頃には、既に16歳だった。
『16歳なら、これからもっと色々な出逢いがあると思うの。高校や、大学で。なのに、もうここで未来を決めてしまって、後悔はしない?』
─────後悔。
確かに、高校に入れば、バイトとか、通学とかで出逢いはたくさんあると思う。
私だって、そういう出逢いを夢見てたのだから。
けれど、違う。
私はそんなたくさんの出逢いよりも、今隣で手を握ってくれている彼を、大事だと思う。
こんなにも、恋い焦がれて、好きで好きでたまらなくなったのは、拓だけだから。
“一生”、この重みを知る。
簡単に離れることは出来ないのだ、と。
ただの恋心では、傍に居ることなんて出来ないのだ、と。
それほど“一生”とは重いものだと、言いたいのだと思う。