その内側に、情熱な色を持つ。
──────赤。
それよりもっと鮮やかで、想いの強い赤。
立って見ているだけで、ひしひしと伝わる。
──────愛。
この桜は確実に、誰かに恋をしている。
内側に持つ、赤で。
燃えてしまいそうな、赤で。
『誰に恋をしているの?』
傍まで行って、問いかける。
もちろん、答えなんて返ってくるはずないわ。
そう思って、柔らかく微笑む。
ふと見上げると、桜の周りに小鳥が集まっていた。
小鳥は、数匹いた。
茶、黒、銀、赤。
特に目立つのはこの色。
みんな、散る桜の花びらを必死で拾い集めている。
我こそが、と言わんばかりに。