──────夢を見た。







ぼんやりした世界で、よく周りが見えない。




分からないけれど、吸い込まれるように、前へ踏み出す。





不安とか、微塵もない。






『桜?』





進んだ先に、桜が現れた。



一本だけ。




寂しそうでもなく、決して儚くもなく、


ただ、凛としていて、堂々としている。




純粋な、汚れ無き桜だった。





私の知ってる桜じゃないわ。




こんなに美しい桜、見たことなんて無い。




白?いや、桃色?





そんなのじゃない、表せない程に美しい淡い色。