「分かった」
その一言が嬉しくて、同情心のない、その言葉が。
全て受け入れていれているような、その声が。
『だけど』
言葉を続けた。
逆接語に、一瞬、びくっとしてしまう。
『一度は家に帰るんだからな?荷物や着替えなど、無いと不便だろう?』
優しく微笑む拓と同じように、柔らかく微笑む。
ありがとう、と。
『ええ、分かったわ。しばらくしたら一度帰るわ』
『その時は、家まで送る。車の手配があるから、前日までには言ってくれ』
『良いわよ、送るだなんて。家まででしょう?道だって……なんとなく分かるし』
『よ、良くない。道は結構複雑なんだからな?迷ったら……』
『迷わないわよ』
私が言い切ると、拓は少し黙ってしまった。
少し、意地悪だったかしら?
けれど、拓は負けじと話を再開する。
『迷わなかったとしても、俺が心配なんだ。さくらに何かあったら……』
そこまで言って、もう一度、口をつぐんだ。